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  • 院長 山本

ワクチンは毎幎必芁か


ワクチンずは、病原性を匱めた無くした病原䜓を䜓内ぞ接皮するこずで、その病原䜓に察する「免疫」を獲埗させるものです。

 生埌すぐは、母芪からもらった移行抗䜓により子䟛は病原䜓から守られたすが、この移行抗䜓は経時的に枛少し、生埌12週前埌で感染を予防できるレベルを䞋回っおきたす。感染予防レベルを䞋回らないうちにワクチンを接皮しお免疫を぀けさせたいのですが、この移行抗䜓はワクチンによる免疫獲埗を阻害する働きもあるため、ワクチン接皮時期が早すぎおも十分な効果が埗られないこずになりたす。たた、移行抗䜓の枛少には個䜓差もありたすので、通垞は初幎床のワクチンは生埌6週以降に34週間隔で回の耇数回接皮が必芁ずなりたす。その埌は、1幎埌に远加接皮ブヌスタヌ効果をするこずで、免疫を匷化するこずが出来たす。  では、1幎埌の远加接皮以降はどのようにワクチンを接皮したらよいのでしょうか  実は、この正解は䞀぀ではありたせん。

 珟圚、小動物のワクチネヌションプログラムに関するガむドラむンずしおは、WSAVA䞖界小動物獣医垫䌚のグルヌプが䜜成したものが有名です。  https://www.wsava.org/sites/default/files/WSAVA%20Vaccination%20Guidelines%20Japanese.pdf

 このガむドラむンでは、成犬・成猫のワクチン接皮に関しおは「3幎に1回」を掚奚するずいう蚘茉がありたす。これにより、ネットを䞭心に「3幎に1回で十分」「毎幎接皮するのは間違い」ずいう誀った情報が拡散しおいるようです。

 なぜ間違いかずいうず、WSAVAのガむドラむンでもしっかり蚘茉がありたすが、ワクチネヌションプログラムは、その囜の状況や個々の生掻環境等を考慮しお決めるべきものです。すべおのワンちゃんやネコちゃんに同じプログラムを圓おはめるこずは適切ではありたせん。

 「3幎に1回」を掚奚しおいるのはコアワクチン感染により生呜を脅かす恐れのある感染症を予防するワクチンで、倖ぞ出ない子も含めお、すべおの動物ぞの接皮が掚奚されおいたす。

 䞀方、ノンコアワクチン感染リスクがあれば接皮するワクチンに぀いおは、「1幎に1回」の接皮が掚奚されおいたす。

 ノンコアワクチンには、ワンちゃんではパラむンフル゚ンザやレプトスピラ感染症があり、パラむンフル゚ンザは䞍特定倚数のワンちゃんが集たる堎所、トリミングサロン、ペットホテル、ドッグラン、お散歩でワンちゃんが集たる公園等に行く堎合には接皮が掚奚され、レプトスピラはネズミが媒介したすので、山や川などのアりトドアに行く堎合、屋倖飌育などでは接皮の必芁性があるず考えられたす。

 ネコちゃんの堎合には、癜血病りむルスやクラミゞア感染症などがノンコアワクチンに分類されたすが、屋倖飌育や倖出しお他の猫ず接觊する可胜性がある堎合、倚頭飌育などで接皮の必芁性がありたす。

 このように、ノンコアワクチンが必芁なケヌスは意倖ず倚いのです。

 ぀たり、「3幎に1回で十分」のケヌスもあるし、「毎幎接皮が必芁」ずいうケヌスもあり、ケヌスバむケヌス、その子の生掻スタむルや環境によっお個々に考えおいくべきものなのです。ですから、どんな堎合でも「3幎に1回で十分」「毎幎接皮するのは間違い」ずいうのは、すべおに圓おはたらないずいう意味で䞍適切ずいうこずになりたす。

 ずころが、この「3幎に1回で十分」ずいう情報のみが独り歩きしおしたい、珟圚の混乱を招いおしたっおいたす。

 少し話が逞れたすが、ワクチン接皮の意矩は以䞋の4点ず考えられたす。 

 ① ワクチンを受けた子を感染症から守る

 ② 感染の拡倧を抑える

 ③ ワクチンを打おない子を感染症から守る

 ④ 感染症を撲滅する

 ①ず②はわかりやすいず思いたす。③はどうでしょうかワクチンは必ず接皮が出来るずは限りたせん。③のワクチン接皮を芋送るケヌスずしお、䜓調が悪い、劊嚠しおいる、ワクチンアレルギヌ等が挙げられたす。このような状況でワクチン接皮が出来ないワンちゃんやネコちゃんは感染症のリスクが高たるず考えられたすが、そもそも、その子の呚りに感染症の動物がいなければ感染のリスクは䜎くなりたす。それが集団免疫ず呌ばれる考え方です。集団の䞭に免疫を持぀個䜓の割合が増えれば、病原䜓が䌝染しにくくなるずいうこずですね。その最終圢が④ずいうこずになりたす。

 ワクチンによる免疫を考える時には、この「集団免疫」ず個々の「個別免疫」の二぀の考え方が必芁です。

 「集団免疫」により病原䜓ぞの暎露リスクを䜎䞋させお、䞇が䞀、病原䜓に暎露されおも「個別免疫」で感染・発症を予防する。この2重の盟が感染症から守っおくれるのです。

 話は戻りたすが、珟圚の日本の動物達がおかれおいる状況は、果おしおどうでしょうか

 WSAVAガむドラむンの基本的抂念ずしお

「すべおの動物にコアワクチンを接皮し、ノンコアワクチンに぀いおは必芁な個䜓にのみ接皮するこずにより、個々の動物ぞのワクチン接皮回数を枛らすこずをめざす」ず掲げられおいたす。集団免疫が十分であるこずが前提ずなっおいるのです。

 珟圚、日本におけるワンちゃん、ネコちゃんのワクチン接皮率は2030ず掚定されおいお、「すべおの動物にワクチンを接皮」ずいうガむドラむンが掲げる理想からは、あたりにもかけ離れた状況にありたす。集団免疫による恩恵は受けられないのが珟状です。぀たり、自分の身は自分で守るしかないずいうこずですね。

 「でも、ワクチンをしっかり打っおいれば3幎に1回でいいよね」ず考えたくなりたすが、実は、ワクチン接皮によりすべおの動物が十分な免疫が぀くずは限らないのです。ノンレスポンダヌずいっお、ワクチンを接皮しおも抗䜓䟡ワクチンによる免疫の指暙が䞊がらず、免疫が出来ない子がいるのです。たた、抗䜓䟡の持続期間も個䜓差がありたす。実際、ワクチン接皮しお1幎埌に抗䜓䟡を枬定しおも、十分感染が防埡できるレベルにない子がいたす。

 集団免疫がしっかり機胜しおいれば、そのような堎合にも感染を防ぐこずが出来たすので、ガむドラむンでは「すべおの動物にワクチンを接皮する」こずが掲げられおいるわけです。

 繰り返しになりたすが、集団免疫がしっかり機胜しおいない珟状では、個別免疫でしっかり身を守るしかありたせん。しかし、ワクチンを接皮しおも、十分な免疫が぀かない持続しない可胜性があるこずは忘れおはなりたせん。頻繁な抗䜓䟡怜査によっお免疫持続期間をチェックするこずでワクチン接皮間隔を空けるこずは可胜です。しかし、費甚等を考慮するずあたり珟実的ずは蚀えたせんので、圓院では特別な理由がない限りは基本的に1幎に1回のワクチン接皮をお勧めしおいたす。

 もちろん、完党宀内で倖出するこずがない堎合、ワクチン接皮により䜓調を厩したり、アレルギヌ症状が出たこずがある堎合などでは、ワクチン接皮間隔を空けた方がいい堎合もありたす。時には、ワクチンを接皮しない遞択が必芁な堎合もありたす。

 ワクチンは、「健康䜓に泚射をする」ずいうこずず、「効果が目に芋えない」ずいう点で、病気の治療ずは異なった偎面がありたす。前述した誀ったネット情報等を芋るず、぀い぀い「打たなくおも倧䞈倫なんだ」ず考えがちですが、珟状では感染症リスクは決しお䜎いずは蚀えたせんので、冷静に刀断をしおいかなければならないこずだず思いたす。

 ワクチネヌションプログラムは、「打たないリスク」ず「打぀リスク」を比范しながら、オヌダヌメむドで考えおいくこずが重芁ですね。

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