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  • 獣医師 川口

セミナーに参加しました


 本日は、診療終了後に上野で開催された、HYPER JOINT SEMINAR主催の外科セミナーに参加いたしました。テーマは「体幹のヘルニア」です。

 ヘルニアは「腰や首が痛くなる、神経の病気!」

 そんな印象をお持ちの方が多い様ですが、実はそれ以外にも、ヘルニアという病気はあるんです!!

 ヘルニアは、「hemia=脱出する」というラテン語が語源です。

 「何かが飛び出している状態」から転じて、「臓器が本来あるべき場所から飛び出した状態」を医療用語では「ヘルニア」と呼びます。

 先の「腰や首が痛くなるヘルニア」は、椎間板ヘルニアといいます。

 脊椎の間にある椎間板物質が飛び出して痛みや麻痺を招く有名な疾患ですが、それ以外にも「体幹のヘルニア」というものがあり、鼠径ヘルニアや会陰ヘルニアがあげられます。

鼠径ヘルニア

 鼠径とは太ももの付け根のことです。この部位の筋肉の隙間からお腹の臓器が飛び出すのが鼠径ヘルニアです。

 この部位にはもともと隙間(鼠径輪)が存在しているのですが、生まれつきこの隙間が大きかったりお腹の中の圧力が高い状態が続くことで、この隙間から大事な臓器が飛び出してしまいます。人間の医療では「鼠径部の脱腸」と呼ばれています。

会陰ヘルニア

 会陰とは、お尻の周囲、厳密には左右のふとももとお尻に囲まれた部位周辺のことです。この部位の筋肉の隙間から臓器が飛び出すのが会陰ヘルニアです。

 やはり、この隙間から大事な臓器が飛び出し時に命に関わる事態を招きます。去勢手術をしていないオスの高齢わんちゃんに発症しやすい病気です。

 どちらも臓器の脱出具合が軽度であればすぐには重篤な事態は招きませんが、やがて進行し臓器の脱出が重度となると、命に関わる病態を招くこともあります。

 鼠径ヘルニア、会陰ヘルニアともに、手術がうまくいっても再発する(最裂開・再脱出)可能性がある疾患です。発症してしまったら、できる限り進行悪化する前に手術することが重要です。また、男性ホルモンに依存して発症することが多いですから、男の子のわんちゃんは若いうちに去勢手術を実施することを強くお勧めいたします!

 今回のセミナーでは、体幹部のヘルニア症例の外科治療法について詳細に学ばせていただきました。明日以降の診療・外科治療に役立てていきたいと思います。

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