8月23日に半蔵門で開催された外科セミナーに参加しました。テーマは「大腿骨頭切除」で、講師は全国で手術を請け負う外科手術のエキスパート、中島尚志先生です。
大腿骨頭切除手術は、股関節疾患(股関節形成不全、大腿骨頭壊死症(レッグ・カルベ・ペルテス病)、外傷など)において、股関節の機能低下が認められ、他の方法で改善する可能性が低い場合に実施されます。股関節機能の回復という点では人工股関節手術が理想的ですが、実施できる施設の制限や費用的な問題により、現時点では大腿骨頭切除手術が選択される場合がほとんどです。
適切な手術を実施することで60~70%の股関節機能を維持することが可能ですが、言い換えると、股関節機能が60%以下に低下した場合、もしくは、将来的にそれ以下に機能が低下することが見込まれる場合に選択されることになります。
大腿骨の骨頭と骨頚部(丸い部分とその付け根部分)を切除するシンプルな手術ですが、私は以前より大変難しい手術であると感じていました。切除するラインの数mmの違いで術後の機能回復にかなりの差がでるのです。それにも関わらず、様々な書物等を調べても詳細な記載がなく、長年の悩みの種でした。
今回のセミナーでは、股関節疾患のレントゲン診断のポイント、理想的な切除ラインやその手技のコツ等を学ぶことができ、長年のモヤモヤも解消できました。早速、診療に役立ててより良い治療を実施していきたいと思います。