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院長 山本

セミナーに参加しました


 本日は、市ヶ谷で開催されたスキンケアセミナーに参加しました。

 テーマは、「スキンケア ベストプラクティス」で講師は関口麻衣子先生と中島尚志先生です。ワンちゃんで非常に多く遭遇する皮膚病である膿皮症と、皮膚の細菌について勉強してきました。

 膿皮症とは、皮膚での細菌増殖に関連して皮膚炎を起こした状態を指します。膿皮症の診断は簡単なのですが、膿皮症を起こす原因・背景について慎重に考えなければなりません。

 「なぜ、皮膚の細菌が増えてしまうのか?」

 人と同様に犬の皮膚にも常在菌が存在します。通常、常在菌は悪さをしないのですが、皮膚のコンディションが悪い場合や免疫力が低下した場合には、特定の常在菌が過剰に増殖して皮膚炎を引き起こします。

 皮膚のバリア機能が低下するのは、アトピーや角化症(脂漏症、脂腺炎など)などの皮膚がデリケートになる「体質」によることが多いため、繰り返し症状がみられる場合がほとんどです。

 治療は感受性のある抗菌薬の内服を行うことが多いのですが、膿皮症は上述のように再発しやすいため、単純に「皮膚の細菌が増えたから薬で抑える」というのは、「モグラたたき」をしているようなものできりがありません。また、抗菌薬の多用による耐性菌の発生などの問題も考慮しなくてはなりません。

 そこで、重要となるのが「スキンケア」というわけです。

 細菌が増えて症状が出てからから叩くのではなく、細菌が増えないようスキンケアという先手を打つことにより、なるべく抗菌薬に頼らずに皮膚のコンディションをコントロールをしていきます。

 細菌をなるべく増やさないためには・・・

1.汚れをしっかり落とす(汚れは細菌のエサになります)

2.バリア機能を高めるために十分な保湿をする(乾燥すると肌が弱くなります)

3.細菌が増えて症状を出す前に、細菌を減らす

ということが目標として挙げられます。

 1および2の目標を達成するためには、皮膚のコンディションに合わせて適切なシャンプーを使用することが肝心です。当院では、低刺激性で保湿性があり、しっかりと汚れが落とせるスキンケアシャンプーをご用意しています。また、保湿に関してシャンプーのみで不十分な場合には追加で保湿剤を使用することもあります。

 3については、今回のセミナーで特に重点的にレクチャーを受けました。

 これまで犬の皮膚細菌と皮膚疾患の関係について、実はあまりよく解明されていませんでした。正確には、「今までわかっていた(つもりだった)細菌=培養できる細菌」は、実は・・・すべての皮膚細菌の1%以下だったことが近年の遺伝子検査にて判明したのです。犬の皮膚細菌叢は想像以上に多様だったのです。そして、アトピーのワンちゃんでは細菌叢に変化がみられることが報告されおり、その変化が皮膚のコンディションをさらに悪化させることが指摘されています。

 皮膚細菌と皮膚病は、切っても切れない関係なのです。

 そこで、皮膚の細菌に対して皮膚炎が発症する前に(プロアクティブ)対処するために、皮膚用の静菌スプレー(リバイオエピ)が有用となります。

 この静菌スプレーは抗菌薬ではありませんから、耐性の心配はありません。また、抗菌成分も食品にも使用される銀イオンと、FDAで食品添加物として認められているポリ-ε-リシンという2種が使用されており、安心して皮膚に使用できます。

 日々のスキンケアにおいて、頻繁なシャンプーは多忙な生活の中では少し敷居が高いものです。もちろん、一定の間隔で適切なシャンプーをすることは必要ですが、その間に手軽なスプレーでケアできるということは、長くケアを続けることを考えると非常にメリットがあります。

 当院では、スキンケアシャンプー、静菌スプレー、サプリメント等を皮膚の状態によって組み合わせて使用し、皮膚コンディションを整えることで、なるべく抗菌薬に頼らずに生活の質が保てるよう心がけています。

 皮膚のトラブルでお悩みの場合には、スタッフまでご相談ください。

 皮膚に関する診療については、生活環境を含めて詳しくお話を聞かせていただきますので、可能であれば予約診療をご活用いただくことをお勧めいたします。

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