本日は、埼玉動物医療センター(埼玉県入間)にて実施された総合診療科勉強会に参加しました。テーマは「歩けない」です。
ご自宅のわんちゃんねこちゃんが、突然「歩けない」状態になった時、どのような原因があると思われますか?
捻挫・脱臼・骨折は、ご想像しやすいかもしれません。
しかし、実はそれ以外にも「歩けない」原因があるのです
「歩けない」理由は、大きく3つに分けられ、痛い、肢が動かない、具合が悪い、といった理由が考えられます。
痛い
先ほどの捻挫・脱臼・骨折は、ここに分類されますが、それ以外にも筋肉の炎症・関節炎・関節の変形・悪性腫瘍の骨浸潤などで骨や関節が痛くなり、歩けなくなることがあります。
肢が動かない
脳や脊髄、末梢神経といった、肢を動かすための神経経路が病気になると、肢が麻痺して動かせなくなります。また、血管内に血栓がつまり、肢への血流が極端に悪くなる動脈血栓症でも、肢が動かせなくなってしまいます。
具合が悪い
肢が悪いのではなく、全身状態が悪いために動けない場合があります。例えば、心臓が悪い・重度の感染症で体が弱っている・呼吸不全を起こしている・意識障害がある…といったケースです。これらは、命に関わることも多いので、一刻もはやい診断・治療が必要です。
このように、一概に「歩けない」といっても原因は様々です。
様子をみていいものもあれば、緊急性の高いものもあります。どうして歩けないのか、どこに問題があるのかを、慎重に診断する必要があるのです。
今回のセミナーでは「歩けない」原因疾患の分類について、センター副院長の石川先生からわかりやすくご講義いただきました。また、「歩けなくなる神経疾患」について、同センター神経科の鵜飼先生より、詳細にご紹介いただきました。明日以降の診療に役立てていきたいと思います。