本日は、診療終了後に浦和で行われた学術セミナーに参加いたしました。講師の村山信雄先生は、アジア獣医皮膚科学会の専門医であり、東京都で「犬と猫の皮膚科」を運営されている小動物皮膚科のスペシャリストです。
今回のテーマは「珍しい皮膚科症例を診る」でした。
皮膚科専門外来でも珍しい疾患が、もしも自分の動物病院に来院したら… という着眼点のもと、複数の症例をご説明いただきました。
今回は、その1つをご紹介いたします。
「円形脱毛症」という名前はご存知でしょうか?
人で「ストレスで10円ハゲができた…」などの発言を耳にし、この疾患を知っていらっしゃる方も多いと思います。実はこの円形脱毛症、人だけではなくワンちゃんにも起こるのです!!
驚きですよね。
人と同様、頭部や顔面に脱毛が見られることが多いのですが、その脱毛は、時に円形でないこともあるそうです。また、脱毛部位から一時的に白い毛が生えることもあります。
この円形脱毛症は、人もワンちゃんも免疫がおかしくなり起こる病気だと考えられています。本来ならば体を守る免疫機能に異常が生じ、自分の体(この場合は毛根)を攻撃してしまうのです。人ではストレスが免疫異常に関与するそうですが、ワンちゃんでは原因ははっきりわかっていません。
ワンちゃんの円形脱毛症はとても稀な疾患です。私たち一次診療の獣医師は、いきなり稀な病気をピンポイントで疑うのではなく、ワンちゃんに脱毛を起こす他の一般的な疾患(皮膚感染症、内分泌疾患による毛周期異常、脂腺炎…など)を丁寧に除外することが大切であることを学ばせていただきました。
今後の皮膚科診療に役立てていきたいと思います。