入間の埼玉動物医療センターにて開催された学術セミナーに参加しました。眼科診療“眼が〇〇シリーズ”第一弾、今回のテーマは「眼が白い!」です。
健康診断の結果、「眼が白い!」ことをご家族にお伝えすると、大概このようなお答えをいただきます。
「先生、この子トシだし、白内障でしょ?白内障なら、大丈夫じゃないの?」
実は、そうではないのです。
皆さんに、ぜひお伝えしたいのは、
眼が白くなる病気は、白内障以外にもあります
また、白内障は“大丈夫”な病気ではありません
= 眼が白い状態は、大丈夫ではない!! ということです。
まず、偏に「眼が白い」といっても、どの部位が白いのかによって対応が異なります。眼球には、外側から順に、角膜、前眼房、水晶体、硝子体という構造物があり、その奥に光を感じる網膜が存在します。そのなかで、水晶体が混濁するのが「白内障」なのですが、実は白内障以外でも眼は白くなるのです!
例えば、角膜にコレステロールやカルシウムが沈着する「角膜変性症」、前房に血液由来の白い脂質が溜まり、強い炎症を起こす「脂質性房水」、硝子体が白くなり、やがて網膜剥離を起こす「硝子体変性」… どれも、放っておいて大丈夫な疾患ではありません。
また、白内障も、実はとても怖い病気です。ただ眼が白くなるだけではなく、進行すると、ぶどう膜炎や緑内障という病気を併発し、完全に失明したり、強い痛みを起こすことがあります。
ご家庭のわんちゃん・ねこちゃんが、「眼が白い!」と気づかれた際には、大丈夫だろうと様子を見ずに、お早めに動物病院にご相談いただくことをお勧めいたします。
今回のセミナーを通じて、眼が白くなる疾患について詳細に学ばせていただきました。今後の診療に役立てていきたいと思います。